焚き火に使える火の粉が出ない薪

火付けがわりと簡単で、一旦ついた火は消えにくく、火持ちがまあまあよく、爆ぜたり火の粉が上がることがほとんどない、そんな理想みたいな薪がオガライトです。
初心者でも簡単、ベテランも楽々たき火を楽しむにはうってつけの薪だと思います。

当記事では、焚き火に使う薪の種類についての説明と、それらと比較した場合のオガライトのメリット/デメリットなどについて説明します。

オガライトとは?

オガライト

簡単に言うと、おが屑を固めたものです。

おが屑を高温・高圧でギューッと圧縮すると、おが屑が固まるのだそうです。

オガライトの形状は、長さ30〜50センチメートル、太さ5.2センチメートル程度の棒状で、断面は円形もしくは六角形。圧縮成型しつつ、外面を150度に加熱するため、外見は濃茶色となっている。加熱する事により、おがくずに含まれるリグニンが粘結剤の役割をするため、添加物は使われていない。熱圧縮時に木質から高温高圧なガスが発生するため、ガス抜きとして中心部が1センチメートル程度のちくわのような中空となっている。

Wikipedia : オガライトより

※ 上記Wikipediaの説明では、なぜか「太さ5.2センチメートル程度」なんてかなり限定していますが、実際には一般的なものでも4-6cmくらいの幅があると思います。

昔は囲炉裏やかまどで使う薪として利用されていたようです。火付きも火持ちも良いなど、実用面で優れているという証ですね。

現在では主に薪ストーブやピザ窯の燃料で使われています。これらも実用性重視の用途ですね。

オガライトの特徴(燃え方)

ここで、普通の薪に対するオガライトの燃え方の特徴について説明します。

火付きも火持ちもよい

比較的簡単に着火しますし、火持ちもよい(燃焼時間が長い)です。
これについては、僕にはその理由を科学的に説明できませんが、とにかくそうなんです。

これが初心者からベテランまでおすすめできる大きな理由です。

爆(は)ぜない

爆ぜるというのは、爆跳(ばくちょう)というのは、燃やしている薪がたまに、パンとはじけたようになるあれです。
燃えながらパチパチと音がしているのも、軽めの爆跳による音です。

薪や炭が爆ぜる原因は、空気や水分を含む密閉空間が、熱による膨張ではじける事によりおきます。言い換えると、内部の空気や水分が熱で膨張して破裂しているというわけです。

爆跳が起きると、火のついた木片が飛んだりすることになり、それが火の粉になったり、最悪の場合は大きめの火玉が飛んでくることになり、危険なものです。

ところで、オガライトですが、これは先に説明したようにおが屑を圧縮して固めたものです。なので、そもそも密閉空間がありません。
内部の空気や水分が膨張しても、おが屑の間を通って外に抜けていきます。

そういうわけで、オガライトは燃やしても爆ぜることはほとんどありません。

爆ぜないので、燃やしているときにパチパチなったりもしません。静かに燃えます。この点は、焚火の風情を考えると物足りないと感じることがあるかもしれませんね。

火の粉が出ない

先に説明したように、パチパチ弾けないので火の粉もほとんど出ません。

これは大きなメリットです。
※とはいえ万が一のこともあるので、風が強いときは焚き火はやめておきましょうね。

煙が出にくい

煙が出るのは燃焼が不完全なためです。

(ちゃんと乾燥した)オガライトは燃えやすく、すぐ全体に火が回るので不完全な燃焼もおきにくく、結果として煙がモクモクとでるようなこともありません。

初心者でなくてもヘタな薪をつかまされると、不完全燃焼による煙に悩まされることがありますが、オガライトではそういうことは少ないです。
あくまでもちゃんと乾燥した環境で保管されている前提ですが。

TIPS

黒い煙(これは煙というか煤「スス」です)については、普通の薪と同じようにうっすら出ます。
「うっすら」なので明るい昼間でなければほとんどわかりませんが。

棘(トゲ)が刺さらない

燃焼の仕方とは関係ありませんが、大きなメリットとして棘がないこともあげられます。

オガライトはおが屑を固めたものなので、普通の薪のようにその繊維が刺さることはありません。普通に素手で触ることができるので取り扱いに気を使わなくて済みます。(火を使うときは防火手袋推奨です)

オガライトを炭にしたものがオガ炭

ちなみにですが、このオガライトを炭にしたものが「オガ炭(おがたん)」です。
キャンプやバーベキューを楽しむ人にとっては、このオガ炭の方が馴染みがあるかもしれません。

僕はBBQで使用する炭にもおのオガ炭を使っています。

実は、オガライトと違ってオガ炭は特に火付けが難しかったりします。それさえクリアしちゃえばオガ炭も非常に使いやすい炭なのですが。。
オガ炭については以下の記事をどうぞ↓

[ざっくり説明] 焚き火で使う薪の種類

ここでは、焚き火で使う薪の種類について、ざっくりと説明します。

針葉樹の薪

スギやヒノキなどの針葉樹の薪です。

比較的密度が低いので同じサイズなら広葉樹よりも軽いです。

そして、密度が低い=中身に隙間が多いので火がつきやすく、広葉樹薪や成型薪よりも短時間で勢いよく燃える傾向です。

簡単に着火できてよく燃えるので、例えばファミキャンなどでサクッと火を起こしてちょっとしたキャンプファイヤーを楽しむような場合に向いていると思います。

火付がわるい広葉樹の着火用として使われたりもします。

広葉樹の薪

ナラやクヌギ、桜などの広葉樹の薪です。

こちらは密度が高くずっしりしています。

火付けは悪く、着火するにはコツがいりますが、一度着火すると火持ちが良いのが特徴です。

針葉樹の場合と違い、じっくり時間をかけて焚き火を楽しみたい場合に向いています。

COMMENT

火付きが悪い薪の火をうまく育てていくという楽しみ方もありますね。
時間に余裕がある場合は薪を割って日が付きやすいように細くしたり、フェザースティックを作ってみたりとか。。

※ 火付きが悪いと言っても、BBQ等で備長炭やオガ炭を使っている人ならどうにでもできるレベルです。

成型薪

オガライト

オガライトについては説明済みですね。

ここらへんは僕の主観ですが、火付けは針葉樹と同じくらい簡単です。火力は広葉樹より強く、火持ちは広葉樹と同じくらいかちょっと悪い感じです。
ただ、熾き火になってから消化するまでの時間はすごく長いです。その熾き火でBBQできちゃうくらいの時間は持つ印象です。

その他

モミガライトは、オガライトがおが屑を原料としているのに対し籾殻(もみがら : 要するにお米の殻)を原料としたものです。オガライトより若干安いようですが、燃料としての性質も若干悪いようです。

ペレットは、おが屑ではなく、木の端材を粉砕して粉末状にしたものを固めたものです。

これらについては、僕は使ったことがありませんし、焚き火の燃料として使えるかどうかはよくわかりません。

薪やオガライトはどこで入手できる? 価格はどのくらい?

近年のキャンプブームもあり供給が不足しがち担っているそうで、薪の価格は上がっています。
ここでは、薪やオガライトの入手方法について説明します。

入手方法

ホームセンター

キャンプで使用するくらいの分量であれば、ホームセンターで購入するのが手っ取り早です。

ただし、特にオガライトは販売していない・あるいは冬場のみ販売しているホームセンターが多いと思います。
オガライトは、薪ストーブに使われることが多いので、そもそも需要が少ない&夏は不要なので仕方ありませんね。

通常の薪については、キャンプブームの影響で一年中販売されいてるところが多いように思います。
ただし、多いのは気軽に焚き火ができる針葉樹で、広葉樹は販売していないホームセンターもあります。

ネット販売

もちろんネットでも販売されています。Amazonや楽天等であれば一年中通常の薪もオガライトも購入できます。

ただし、価格は高めです。単価の割に重量があるので、どうしても配送コストの比率が大きくなってしまうのでしょうね。

逆に言うと、あの重いものを自宅まで届けてくれるでとても楽です。重量のあるものをホームセンターにわざわざ買いに行くか、数百円のコストアップに目をつぶるか、なんとも言えませんね。

乾燥具合などの品質を確認できないのもネット販売のリスクですね。

キャンプ場

多くのキャンプ場で、薪を購入することができます。

ただし、価格も品質もピンきりです。
1束(多いのは5~8kgくらい?)で300円のところもあれば1000円位するところもあります。品質もバラバラで、ひどいところは雨ざらしだったりして湿ったものしか入手できないこともあります。

オガライトについては、キャンプ場で販売されているのは見たことがありません。

薪屋

本当に薪の専門店の場合もありますし、木工所等が薪を販売しているところもあります。キャンプ場やBBQ場が多いエリアでもたまに見かけます。

大抵の場合、ホームセンターより安いです。安いところでは半額以下にもなると思います。

ただし、多くの人にとっては近所にそのような店はないと思いますので、キャンプに行く途中に立ち寄って買っていくなどのケースが多いのではないかと思います。

ネットで販売している専門店もありますが、通販だとどうしても送料が大きくのしかかってきます。

ただし、オガライトについては、キャンプ場と同じく、販売しているところは見かけたことがありません。

キャンプの焚き火につかうくらいの消費量でオガライトが小売されているのは、ネット通販かホームセンターになると思います。

拾う?

焚き火の薪なんだから拾えばいいじゃんって考える人もいるかも知れません。僕は基本的におすすめしません。

そもそも、焚き火に十分な量の薪を一般的なキャンプ場内で拾うだけで賄うのは難しいと思います。

COMMENT

「せっかくだから薪拾いも含めて楽しみたいんだよ」っていう場合、薪を拾って良いかどうか、キャンプ場に確認しましょう。場内であれば大抵は「いいよ」って言ってくれると思います。

もちろん場外の薪はその土地の所有者などの許可なく拾ってはいけません。落ちている薪といえどもその場の生態系の一部を担う存在であり、土地の所有者の財産ですので。

それと、落ちいてる薪は大抵の場合水分が多く、燃やしても煙がひどくなりがちです。

焚き付け用に使う小枝くらいなら調達できるかもしれません。

薪の価格ってどれくらい?

これはもうピンきりだし、乾燥状態などによっても様々なのであくまでのざっくりした目安だと思ってください。

※ 需要と供給の関係で変動します。最近はキャンプブームのため高くなっています。

平均的に安いのは各種の薪屋さんです。
針葉樹で40-70円/kg、広葉樹で60-90円/kgくらいが目安かなとおもいます。
オガライトはほとんど販売されていないと思います。

ホームセンターは、針葉樹・広葉樹ともに100円/kgだったら安いほうかと思います。オガライトは薪よりちょっと安いくらいで80-100円/kgくらいになると思います。

ネット販売はさらに高くなります。
薪もオガライトも100円/kgはまず切らないと思います。薪については、この何倍もするようなものもザラです(その分品質がいいのかもしれませんが、僕はそういうのは購入したことがないのでわかりません)。
オガライトについては、比較的安定しており、Amazon/楽天等で130-150円/kgくらいになります。

オガライトを使った焚き火の方法

オガライトの焚き火

扱いが簡単なオガライトですので、とくに特別なことは必要なく、普通に焚き火を楽しめばよいだけなのですが、以前に写真を撮ったのを見つけたのでその流れを紹介します。いつも写真を取り忘れて記事を書くとき困るんです。。

事前準備

まず、焚き火の前に確認しておくべき注意事項について説明します。

周囲の火の気に注意

周囲に火の気がないか、十分に注意してください。

オガライトで火の粉が飛ぶことはほとんどありませんが、万が一ということもあります。火の粉が飛ぶ可能性のある範囲にテント・タープがない位置で焚き火をしましょう。

キャンプ場の場合はお隣のテントやタープにも注意してください。
自分のテントを守ることしか目に行かず、お隣のテントの近くで焚き火をするなどもってのほかです。

COMMENT

僕のテントは隣のサイトから飛んできた火の粉が原因と思われる小さな穴が開いています。
その場で気づかなかったので、いつ開いたのかわかりませんが、位置的にも自分が出した火の粉とは考えられない場所なので。。
「そういえば前回、豪快に火の粉と煙を出していたお隣さんがいたな」って気づいたんです。。

服装にも注意してください。

フリースが危険なことはよく知られていますね。ダウンジャケットなんかはちょっと火の粉がついたらすぐに穴が開きます。
基本的に化学繊維は火がつくと燃え広がりやすいものが多いです。綿素材が良いかもしれません。
最近は焚き火向けのジャケット等もありますね。

焚き火台

焚き火台はもはや必須だと考えていいと思います。

今はほとんどのキャンプサイトで焚き火台の使用が義務付けられています。

主な理由としては、直火だとサイトが汚れたり、延焼のリスクがあるためです。
現在では、焚き火台の利用は焚き火のマナーとして定着しているといっていいでしょう。

直火OKなキャンプ場もあるにはありますが、そういうところでも特に初心者は焚き火台の利用を推奨します。
その理由は、焚火台を使う方が簡単だからです。
たいていの焚き火台は、空気の供給が確保されて薪が燃えやすいようにできています。また、燃えかすの後片付けも直火よりずっと楽です。

僕は直火OKのキャンプサイトでも焚き火台を使っています。

↓焚き火台の名作、ユニフレームのファイアグリルです。キャンプ場でもこれを使っている人を一番多く見かけます。

最近はいろいろなタイプの焚き火台がありますが、このファイアグリルは、底面が2重構造で燃焼効率が良ので薪が燃えやすく、地面が熱くなりにくいです。(焚き火台によっては地面が熱せられて芝生などは枯れてしまいます)
また、構造上小さな火種が地面に落ちたりすることもないので安心して使えます。

消火の準備

バケツ1杯の水を近くに用意しておくくらいはしておきましょう。

万が一の際の緊急的な消火に使うほか、やけどしてしまった際にとっさに患部を冷やしたりするのにも使えます。

通常時に火のついた薪を消化する際には、バケツの水をぶちまけるような方法はおすすめできません。そんなことしたら、灰や高温の水蒸気が巻き散らかされるので危険です。

薪を消化する際は、水の入ったバケツに1本ずつ入れていくか、火消し壺を使いましょう。

↓これは火起こしにも火消し壺にもなるので便利です。

薪の点火

オガライトに着火するのは難しくありません。

僕がおすすめするのは、素直に着火剤を使う方法です。

焚き火台に着火剤をおいて、周囲に適当な長さに割ったオガライトを少し積んでおきます。
薪でも炭でも同じですが、着火時のポイントは、熱が外に逃げないように(下の写真のように)小部屋を作ることと、空気が下から上にスムーズに流れるようにすることです。

オガライトを着火剤の周りに積む
TIPS

オガライトを手で短く折るのはちょっと大変ですが、そのへんの石の角などをコツンとたたけば簡単に折れます。

あとはチャッカマンなどで着火剤に火をつけて放っておけばOKです。

着火剤に着火
オガライトならこのまま放置でOK
TIPS

僕が長年リピートしている着火剤がこちらです。
割と強い火力を10分以上維持してくれるので、薪ならこれ1つ、着火が難しいオガ炭でも(火おこし器と併用で)2つも使えば着火できます。

昔からキャンプしている「キャンプブームって何それ」なワイルドな世代(50代以降?)の人たちの中には、ちまちましたことはせずにガソリン等をぶっかけて火をおこしたりする人もいますが、これは非常に危険なので絶対に真似しないようにしましょう。

COMMENT

2010年代後半あたりからのキャンプブームは「第二次」キャンプブームと言われています。
過去1990年頃に第一次キャンプブームがあって、僕は子供の頃にこのキャンプブームに乗った家族で楽しんでいたのがキャンプの始まりです。

着火したら後はご自由に

オガライトは着火したらほっておいても比較的すぐに火が全体に回ります。
普通の薪のように油断すると火が消えてしまうなどといったこともあまりないので、オガライトの量を追加するなりして自由に火の大きさを調整しましょう。

↑着火後放置で数分くらいの状態だと思います。まだ完全に火が回っていないのでちょっとだけ煙が出ています。

↓これはオガライト追加後。オガライトは爆ぜないのでとても静かに(パチパチ音を出さずに)燃えます。

消火

オガライトは炎を上げて燃える時間は1時間くらい(ちゃんと確認したことはなく、なんとなくの感覚です)だと思いますが、熾き火(炭火のような状態)になってからが長いです。2時間くらい? 完全に消えるまではもっとかかるかもしれません。

熾き火
白くなっている部分が熾き火の状態

上の写真はまだ火が残っていますが、白くなっている部分が熾き火状態です。

TIPS

上の写真で、薪(オガライト)を全面に広げていることに注目です。
これは、焚火台の油汚れ等を焼き切るため、あえて熾き火を全体に広げているんです。(ものぐさな僕は焚き火台の水洗いとかしません。汚れたら大体こんなふうにして焼き切っちゃいます。)

この状態でも、オガライトは最後まで(白い灰になるまで)燃え尽きます。

普通の薪だと、完全に燃やすには一か所にまとめて山積みにするなどして、熱が発散しないようにする必要があり、このように広げてしまうと黒い炭が残ってしまうことが多いです。

この熾き火で、余裕でお芋を焼くことができます。
僕はやったことがありませんが、熾き火でバーベキューとかもできると思います。

時間があるときはそのまま放置でも真っ白の灰になるまできれいに燃え尽きます。(普通の薪だと完全に焼ききるのはちょっと難しいです)

時間を見誤ると寝る時間になっても燃え尽きないので困ることもあるかと思います。そんなときは火消し壷を使うか、1つずつバケツの水にいれて完全に消化しましょう。
間違っても火がついたままでその場を離れたり寝ちゃったりしないでください。

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ブログ管理人
KANI

キャンプ好きサラリーマン。歴は長いけど最近キャンプの機会は激減中。
キャンプ/アウトドア関連の役に立つ情報の発信を心掛けているつもりです。

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