アウトドアで使うガソリンの種類と目的別選び方

キャンプなどのアウトドアで使う、ランタンやバーナー(ストーブ)類の燃料には何を選びますか?

以下の記事ではガス燃料について説明しました。

本記事では、キャンプではガスについで使われている、ガソリン燃料について、その種類や選び方について説明します。

ホワイトガソリンと無鉛ガソリン(レギュラーガソリリン)

アウトドアで使うガソリンは2種類ある

ランタンやバーナー類に使うガソリンには、主にホワイトガソリンとレギュラーガソリンの2種類があります。(ハイオクガソリンは使わないほうがいいです。理由は後述します。)

ホワイトガソリン

ランタンやバーナーでは通常このホワイトガソリンが使われます。

このホワイトガソリンですが、自動車などに使われるような”ふつうにイメージする”ガソリン(以降は無鉛ガソリンと表記します)とはちょっと違うものです。

一般的に、無鉛ガソリンがオレンジ色に着色されているため「赤ガス」と呼ばれるのに対し、ホワイトガソリンは「白ガス」あるいは、コールマンの純正ホワイトガソリンが青色に着色されていることから、「青ガス」とも呼ばれます。

主成分や燃焼したときの発熱量などはあとで説明する無鉛ガソリン(自動車向けのガソリン)とほぼ同じですが、無鉛ガソリンに比べて、高度に精製されており不純物(添加物)が少ないことや、不完全燃焼時に発生するスス(煤)が少ないなどの利点があり、アウトドア用品にはよく使われています。

無鉛ガソリン

多くのガソリンランタンやガソリンバーナーはホワイトガソリン専用です。
無鉛ガソリンに対応しているのは一部の製品だけですのでご注意ください。

いわゆる自動車等の燃料として使われるガソリン(レギュラーガソリン/ハイオクガソリン等)です。(今の自動車用ガソリンはほぼすべて鉛を含まない無鉛ガソリンです)
※ もちろんホワイトガソリンも無鉛なのですが、本記事ではホワイトガソリンと区別するためにエンジンの燃料向けのガソリンの事を「無鉛ガソリン」と表記します。

先にも書きましたが、燃焼効率などの基本的な性質はホワイトガソリンとほぼ同じです。ただし、ホワイトガソリンに対するデメリットも大きく、使用可能な機器は一部の製品のみとなります。

以降、ホワイトガソリンに対する無鉛ガソリンのメリット・デメリットについて説明していきます。

ホワイトガソリンに対する無鉛ガソリンのメリット

まず挙げられるのが、入手性の良さです。

ホワイトガソリンはアウトドアショップ等で購入することになりますが、無鉛ガソリンはガソリンスタンドで買うことが出来ますからね。

キャンプなどでの燃料切れや、災害時などで急遽必要になった際には、近くのガソリンスタンドで購入できるというのは便利ですね。

もう一点、は価格が安いことです。これが理由で使っているという人も多いですね。

例えば、キャンプなどでは一番よく使われているであろうコールマンのホワイトガソリンですが、4リットルで3千円弱の価格です。

僕が知る限り最安でもアマゾンの2,664円(本記事執筆時点)です。

リッター当たりで500円以上ですね。レギュラーガソリンですとこの1/3以下の価格になりますね。

無鉛ガソリンのデメリット

まず挙げられるのが、無鉛ガソリンに対応しているランタン・バーナーが少ないことです。

多くのランタン・バーナーがなぜ無鉛ガソリンに対応していない(ホワイトガソリン専用)のか、その主な理由が、ホワイトガソリンに比べて燃料管が詰まりやすいというものです。

無鉛ガソリンに対応しているバーナーは、ホワイトガソリン専用のものに比べて燃料管が詰まりにくくなっていますが、それでもホワイトガソリン使用時よりは頻繁に洗浄等のメンテナンスが必要となります。

ホワイトガソリンと比べ、無鉛ガソリンは内燃機器で使いやすくするために添加物を加えています。例えばオクタン価を上げるための添加物などがそうです。

これがガソリンバーナーにとっては不純物となり、ガソリンを気化するジェネレーター内で気化せずにのこった成分などにより、燃料管を詰まらせる原因となるのです。

無鉛ガソリンは、エンジンをうまく動かすため(ノッキングを抑えるため)にホワイトガソリンに比べてオクタン価が高くなっています。
※ 逆にホワイトガソリンはオクタン価が低すぎて自動車のエンジンには使えません。

オクタン価とは、ざっくり言うとエンジンのノッキングの起こりくさを示す数値で、オクタン価が高いほどエンジンはノッキングしにくい(自己着火しにくい)ということです。ハイオクガソリンというのは、このオクタン価が高いガソリンのことです。
※ 自己着火しにくいといっても、「燃えにくい」わけではありませんのでバーナーで使った場合の燃焼効率には直接影響しません。

もう一点のデメリットは、完全燃焼しない場合にスス(煤)が多く出るということです。

燃焼効率はオクタン価とは関係ないと述べましたが、通常はオクタン価の高いガソリン(に多く含まれる芳香族炭化水素)は、不完全燃焼するとススを出しやすい性質があります。

そういうわけで、無鉛ガソリンを使うときにハイオクにするメリットは何もありません。
ランタンやバーナーにはむしろ余計な添加物が少ないレギュラーガソリンのほうが向いています。ちなみに、日本のガソリンは欧米のものよりオクタン価は低めです。
欧米のレギュラーガソリンと日本のハイオクガソリンがだいたい同じくらいのオクタン価です。(欧米ではこれを使っていますし、日本のハイオクも使えないというわけではありません)

「完全燃焼しない場合」の代表例はプレヒート時です。プレヒートのときに無鉛ガソリンを使うと、ホワイトガソリンに比べてススが多いです。

また、プレヒートが足りなかったりしてガソリンが完全に気化されていなかったり、何らかの原因で混合空気量が不足しているときなどにも不完全燃焼を起こし、ススが大量に出てきます。(こういうときはガソリン臭も強くでます)
※ 不完全燃焼時はホワイトガソリンでも多少のススは出ます。

ちゃんと完全燃焼しているときは、ホワイトガソリンと変わりはありません。

ホワイトガソリンと無鉛ガソリンの比較まとめ

以上、ホワイトガソリンと無鉛ガソリンの比較をまとめます。

 ホワイトガソリン無鉛ガソリン
価格高い (500円/L 以上)安い(150円/L 以下)
燃焼効率ほぼ同じ
燃料感の詰まり詰まりにくい詰まりやすい
不完全燃焼時のスス比較的少ない多い
対応ランタン・バーナー多い少ない

以上から、ホワイトガソリンと無鉛ガソリンの使い分けは以下のような考え方があるのではないかと思います。

  • 使用頻度が少ない、頻繁にメンテナンスをするのが嫌(定期的なメンテナンスは必ず必要です) → ホワイトガソリンにする
  • 使用頻度が高いのでランニングコストをおさえたい、入手性が高いほうが良い → 無鉛ガソリンにする

他の燃料と比較した場合のガソリンの特徴

ここでは、ホワイトガソリン・無鉛ガソリンに共通する特徴について説明します。

ガスより安く、灯油よりは高い

例えば、日本で販売されていませんが、OD缶、ガソリン、灯油(=ケロシン)のすべてが使用可能なMSRのWhisperLite Universalというシングルバーナーで比較してみます。

商品スペックをみると、1オンスの燃料で沸騰させることの水の量が各燃料ごとに記載されていますのでこれをいかにまとめます。

燃料1オンス(約28.35g)の燃料で沸騰させることのできる水の量
MSR IsoProガス(OD缶)1.8リットル
ホワイトガソリン1.3リットル
灯油1.6リットル
MSR WhisperLite Universal商品ページより
上記はあくまでも、同じ量(重さ)の燃料からのトータルの発熱量の目安です。
火力(単位時間あたりのカロリー)の違いを示すものではありません。(火力は沸騰させるまでの時間に関係します)
実際、この製品では火力はガソリン>ガス>灯油の順に高いです。

上記の表だとちょっとわかりにくいので、1リットルの水を沸騰させるのに必要な燃料の重量と、その価格(参考値)の表にしてみます。
参考値として、一般的なOD缶/CB缶と無鉛ガソリンもそれぞれIsoProとホワイトガソリンと同じ発熱量と仮定して加えています。

燃料1リットルの水を
沸騰させる燃料
燃料価格備考
MSR IsoPro(OD缶)15.7g61.1円IsoPro(226g)を880円として計算
OD缶(参考)15.7g(仮定)31.4円500円/250gとして計算
SOTO レギュラーガス
(CB缶)(参考)
15.7g(仮定)17.0円1本(250g)を270円として計算
ホワイトガソリン21.8g20.9円価格を670円/リットル
比重を0.7として計算
無鉛ガソリン(参考)21.8g(仮定)4.36円価格を140円/リットル
比重を0.7として計算
灯油17.7g1.7円価格を75円/リットル
比重を0.8として計算

※ CB缶はもっと安いもの(アイボンベやニチネンなど)がありますが、それらには純正で対応するランタン・バーナーがないのでここでは考慮していません。

CB缶と比べるとホワイトガソリン(ここではコールマンのエコクリーン4Lの実勢価格で比較しました)の方がちょっと高くなっていますが、それ以外(CB缶でも寒冷地/冬対応のものやOD缶)だと、ホワイトガソリンの方が安くなります。

無鉛ガソリンの場合は大きな差が出ますね。

そして、ダントツで安いのは灯油ということになります。

ガスよりは扱いづらく、灯油よりは扱いやすい

ガソリン・灯油等の液体燃料は、ガスのようにタンクに内圧がかかるわけではないので、タンク内から燃料を押し出すため、圧縮した空気を入れてやる必要があります。

これをポンピングといい、ちょうど自転車の空気入れの小型版のようなものがタンクに取り付けられています。

ランタンもバーナーも同様、使う前にタンク内の空気を圧縮するためにこのポンピングが必要となります。ガスに比べるとこれが結構面倒な作業となります。

また、ガソリンの場合、多くの製品ではプレヒートと呼ばれる作業が必要になります。

ガソリンを気化させるのはジェネレーターと呼ばれる燃料管で、ここを通ったガソリンが熱せられて気化される仕組みです。

プレヒートというのは、予めそのジェネレーターを熱しておくために火で炙るような作業をすることです。ガスの場合ははじめから気化しているのでそのような作業は不要となります。

一方、灯油の方はどうかというと、ポンピング、プレヒートなどが必要なのはガソリンと同じです。ただし、灯油はガソリンよりもさらに気化しにくいため、プレヒートのためにアルコール等の気化しやすい燃料を使う必要があります。ガソリンはそれ自体が気化するので、わざわざ他の燃料は

ガソリンで使えるランタン・バーナーのおすすめ

ガソリンランタン

ガソリン燃料を使うランタンで、日本でまともに入手できるもの(正規販売させているもの)はコールマンしかないと思います。

その中で僕のおすすめは、ノーススターチューブマントルランタンです。

現在の定価で3万円近くとバカ高いのですが、なんと言ってもその魅力は明るさにあります。僕がガソリンを使うようになったのもこのランタンにしたかったからです。

そして、このランタンは無鉛ガソリンも使えます。(注:以下をお読みください)

コールマンのノーススターは無鉛ガソリンが使えるのか?

多くの販売サイトでは「非常時には無鉛ガソリンが使える」と表記されています。(例えば上の広告リンク先のアマゾンページ)

「非常時にしか使えないの?」

気になったので、ちょっと調べてみました。

まず、手元にある説明書を確認すると、使える燃料に関しては以下のように書いてあります。

書いてある通りに解釈すると、「コールマン純正のホワイトガソリンとガソリンスタンドで売っているようなレギュラーガソリンのみに対応している。それ以外はダメ。」というふうに読めます。(ガソリンスタンドの自動車用ガソリンはJIS規格に準拠しています)

説明書のその他の部分にも、「非常時のみ」なんて言うことは書いてありません。

レギュラーガソリンなんかよりは、「非純正」の(ちゃんとした)ホワイトガソリンの方がいいように思いますし、実際使っている人も多いと思いますが、説明書を馬鹿正直に解釈すると、ホワイトガソリンはあくまでも「コールマン純正」のみの対応ということになりますね。
※ ホワイトガソリンにはJIS規格のような品質に対する指標がないのでこう書かざるを得ないのでしょうね

※ コールマンジャパンのサイトにも説明書のPDFがありました(こちら)。上の説明書と文言は違いますが「JIS規格の無鉛ガソリンをお使いください」って書いてありますし、非常時に限定するような記述はないですね。

次に、コールマンのサイトを確認してみます。

コールマンジャパンの商品ページには無鉛ガソリンが使えるとも使えないとも書いていません。そもそも対応する燃料が何であるかが明確に記載されていません。

それでは本家アメリカの商品ベージ(←サイトから消えていました。製造終了???)がどうかというと、商品名からして「Northstar Dual Fuel Insta Start Lantern」です。”Dual Fuel”っていうのは、ホワイトガソリンも無鉛ガソリンも使えるよって言うことを示すコールマンの商標です。

アメリカでは、無鉛ガソリンも使えることを明確にアピールしているんですね。

結論として、僕の考えは「ちゃんとメンテナンスできるなら無鉛ガソリンを使ってもいいけど、ホワイトガソリンの感覚で使いたいなら非常時くらいにしておいたほうが良い」というものです。
※ これって、他の無鉛ガソリン対応のランタンやバーナーでも同じだと思いますが。。

ガソリンバーナー(ストーブ)

こちらは2つ、一つは僕も使っているMSRのドラゴンフライでもう一つはSOTOのMUKAストーブです。

MSR Dragonfly

なんとなく強そうな名前ですが、Dragonflyっていうのはトンボのことです。僕にはあまりトンボに見えませんが。。

この商品の特徴は、弱火/とろ火が使えるということです。実はガソリンバーナーって通常は弱火が苦手なんです。

バーナーはお湯を沸かすくらいにしか使わないよっていう場合にはあまり意味はないかもしれませんが、特にファミキャンのようにちょっと凝った調理にも使いたい場合などに、安定した弱火が使えるのは大きいです。

これも無鉛ガソリンが使えます。それどころか、灯油や軽油も使えます。燃料が入手できなくて困るってことはなさそうですね。災害時の備えにもいいかもしれません。

最近のものに比べるとコンパクトでないし、重いし、うるさいわりにそこまで火力が強いわけではないのですが、昔から多くの人に愛されているバーナーです。

QuietStove
ドラゴンフライはうるさい(燃焼音が大きい)ことでも有名です。
実際、最大火力だと区画サイトのキャンプ場なんかでは近所迷惑になるかもしれないレベルです。早朝などは弱火でないと使えません。
音を抑えるため、別メーカーからサイレンサーが販売されており、使っている人も多いと思います。

これを使えば元の騒音を知っていると驚くくらい静かになります。

SOTO MUKAストーブ

ガソリンなのにプレヒート不要を謳う画期的なバーナーです。

プレヒートというのは、ガソリンを気化させるための配管(ジェネレーター)を予め温めておくことです。これをしないと液体のままガソリンが出てしまうので、ちゃんと燃焼しません。
通常は、液体のガソリンを直接燃やしてジェネレーターを火で炙るような作業をします。

通常のプレヒートはススが出やすかったり、本燃焼の前に一手間必要になるのが面倒だったりするのですが、MUKAストーブはこれを不要にしたということで人気のストーブです。

この製品もホワイトガソリンと無鉛ガソリンに対応しています。

SOTOの公式動画を見てみます。

プレヒートが不要というか、正確にはつまみの回転一つでプレヒートができちゃうっていうことみたい(動画5’05″くらいから)ですね。これは簡単ですごくいいですね。

それと、サイズもコンパクトで、ホースが柔らかそうなのですごく使いやすそう(MSRはこれがダメ)です。

一方、弱火はさすがに難しそうに見えますが、これは大抵のガソリンバーナーがそういうものです。

ところでこの製品(というかSOTOの製品)で気になるのは、ポンピングが70回というところです。

ポンピングというのは、ガソリンをタンクから出すために、タンク内に空気を圧縮させる作業です。
上の動画で3’05″くらいからやっている作業です。

一応MUKAストーブの説明書を確認しても、やはり満タン時で70回です。どの液燃バーナーでもそうですが、満タンじゃないときは更に回数が増えます。

70回は多いですよ。たとえば先のMSR Dragonflyの場合、20-30回くらいです。それでも面倒に思います。
おそらくSOTOは一回に入れる空気の量が少なく、ポンピング毎に必要な力は軽いのだろうとは予想しますが。 それにしても70回か。。

正直なところ、僕なら“70回のポンピング”よりも”20回のポンピング+プレヒート作業”のほうが楽なように思います。

ちなみに、SOTOには、ホワイトガソリン・無鉛ガソリンに加えてOD缶も使える、ストームブレーカーというバーナーもあります。

これもガソリンの場合鬼ポンピングが必要ですが、その名の通り、風に強いことも特徴です。

普段は扱いやすいガスがいいけど、災害時などに備えて入手がしやすいガソリンも使えるというのはいいですね。

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KANI

キャンプ好きサラリーマン。歴は長いけど最近キャンプの機会は激減中。
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