サーマレストZライトソルと激安マットの比較

登山やキャンプで使うクローズドセルマットといえば、一昔前はサーマレストのZライトソルが定番でした。(今も定番かな?)

最近は中国製の格安のそっくり品が色々出てきていますね。アマゾンではSoomloomのマットが人気ですし、日本のブランドでもモザンビークとかWAQなどが販売しています(個人的にはこれらも中国製の格安そっくり品の一つという感覚ですが)。

そんなクローズドセルマットですが、かなり安いと思われるものを見つけたので、思わずポチッてしまいました。

せっかくなので、すでに所有しているサーマレストのZライトソルと、この格安マットを比較してみました。

ちなみに、クローズドセルマットは一般的に「ウレタンマット」とか「EVAマット」と呼ばれますが、厳密にはウレタンやEVAだけで作られているものはほとんどないです。
大抵は架橋ポリエチレン(XLPE : Cross-linked polyethylene)と言う素材です。XPEやIXPEというのもこの架橋ポリエチレンの一種(製法が違う)です。
※ 柔らかくするために架橋ポリエチレンにEVAを混ぜていることはあります

各社のマットのスペック比較

まずは、サーマレストのZライトソルや今回僕が購入したものも含めた、各社のマットのスペックを比較してみます。
※ 片面アルミ処理のマットに限定しています。

メーカー(販売者)
商品
サーマレスト
Zライトソル
Soomloom
寝袋用マット
モザンビーク
アルミナムフォーム
WAQ
キャンプマット
WIDESEA
EGG NEST MAT
サイズ51x183cm55x183cm57x182cm57x182cm56x185cm
重量410g420g495g480g480g
材質架橋ポリエチレンIXPEXPEXPEIXPE
厚さ2cm1.8cm2cm1.8cm1.8cm
生産国アメリカ不明中国不明中国
価格6,820円
(定価)
2,570円
(Amazon)
4,580円
(Amazon)
4,580円
(Amazon)
1,737円
(AliExpress)
※ 価格は本記事執筆時点の実売価格です :()内での販売価格です

あくまでもコレはカタログスペックです。サーマレストとWIDESEAは下の方で実測した結果を紹介します。カタログ値とはちょっと違いましたよ。

一部不明のものがありますが、僕の予想ではサーマレスト以外は中国で生産しているものではないかと思います。

中国では例えばこういうところにロゴやカラーだけ指定すればOEM生産してくれるわけなのですね。
なので、この手の商品は似たようなものが各ブランドから一斉に出てくるというわけなんです。
そのあたりの大人の事情は↓を参考に。

中国製キャンプギアの実態と失敗しない購入法
アマゾンを始め、ネットショップには聞いたことのないブランドのキャンプ用品がかなり売られていますよね? 中には、全く同じものに見えるけど、異なるブランドで販売されていたりしている物もあり、一体どうなっているのだろうと疑問に思ったことはありませ...

WIDESEAのマットをAliExpressで購入

僕が購入したのは、この中でも一番安いWIDESEAのマットです。

https://s.click.aliexpress.com/e/_9yJ7Ez

本記事執筆時点で価格は1個1,737円、送料も無料です。

サーマレストの1/4の価格ですね。モザンビーク/WAQと比べても半分以下、Soomloomと比べてもうまい棒80本分も安いんですよ。

AliExpressについて知りたい方は↓を参考にしてみてください。

ポチってから2週間くらいで届きました。(最近AliExpressは速くなりました。昔は2か月とかザラでしたよ。)

WIDE SEA マット

思わず2つ買ってしまったんです…。

ポチったときは気づきませんでしたが、2つそれぞれにメッシュバッグとゴムバンドもついていました。ゴムバンドはたぶんすぐふにゃふにゃになると思いますが、メッシュバッグはいいですね。

WIDE SEA マット メッシュバッグ

サーマレスト Zライトソル vs. WIDESEA EGG NEST MAT

それでは、ここからはサーマレストのZライトソル(以下サーマレストと表記)とWIDESEAのEGG NEST MAT(以下WIDESEAと表記)を比較していきます。

サーマレストの方は一番使用回数が少ないものにしました(おそらく10泊以下)が、それでも若干のヘタリはあります。
以下は、新品のWIDESEAと何回か使用済みのサーマレストを比較したものですのでご了解ください。

サイズ・重量

まずは、サイズや重量を比較します。

こちらのサイズ・重量は手元におるものを実測したものです、上の比較表にあげたものはカタログスペックであり、一部すこし違う値になっています。

広げたときのサイズ

サーマレストは51.5×180.0cm、WIDESEAは56.5×184.0cmです。

サーマレスト WIDE SEA 開いたときのサイズ

写真ではちゃんと広がっていないので同じような長さに見えますが、しっかり広げて長さを図ると上記のような結果でした。

WIDA SEAの方が少し大きいです。

長さの違いは横になってしまえばわかりません(僕の身長は175cm)が、幅の5cmの違いは結構感じます。

サーマレストは両手を脇にピッタリとつけておかないとマットからはみ出てしまいますが、WIDESEAはちょっとリラックスしてもマットに収まるくらいあります。

畳んだときのサイズ

収納時のサイズはサーマレストは12.5×16.0x51.5cm、WIDESEAは13.0×14.5×56.5cmです。

サーマレスト WIDE SEA サイズ

体積にしてみると、サーマレストが10,300cm3、WIDESEAが10,650.25cm3となり、干サーマレストの方がコンパクトになっています。幅が狭い分が効いていますね。

こうやって見ると、WIDESEAの方がコンパクトに見えるんですけどね。例えば車に積むようなとき等は、WIDESEAの方が有利になるケースが多いように思います。

therm-a-rest wide sea サイズ比較

ところで、このたたんだときの高さ(実測16cm)はカタログ値(14cm)よりも2cmも大きいんですけど…
登山とかする人にとっては、この2cmの違いは大きいですよね。普通に怒っていいレベルだと思いますが。
あるいはモデルチェンジとかがあって、僕が所有しているものから仕様が変わったのかな。。。

※ もう処分しちゃったのでわかりませんが、長いこと使っていてかなりヘタっていたものはたしかに14cmくらいにはなっていたかもしれません…

厚み

パッド全体の厚みと素材の厚み(以下の図を参照)を測ってみました。

パッド厚み

サーマレストはパッド厚みが18mm, 素材厚みが4mm、WIDESEAはパッド厚みが20mm, 素材厚みが3mmでした。

サーマレストのパッド厚みはヘタリの影響がモロに出るところです。見た目にも若干山の頭の部分が潰れているように見えます。

パッド全体の厚みに関しては、新品ならおそらくどちらも同じくらいではないかと思います。

一方、素材の厚はサーマレストの方があります。
これは指でつまんでみてもWIDESEAの方は見た目以上に薄っぺらいのがわかります。ただ、WIDESEAは薄いだけに収納時のサイズ(高さ)にメリットが出ているのだと思います。

重量

それぞれの重さを図ってみました。

サーマレスト WIDE SEA 重さ比較

あれ? これは結構スペック値と違う気がしますね。(サイズも違ったけど…)

一応、現在保有しているサーマレスト3枚とWIDESEA2枚すべての重量を測ってみました。

 サーマレスト
Zライトソル
WIDESEA
EGG NEST MAT
1417.0g437.0g
2403.0g435.0g
3442.5g
平均420.8g436.0g

サーマレストはけっこうばらつきがあります。こうやって見ると、カタログスペックでの10グラムかそこらの差はあまり意味がない気がしますね。

平均は、サーマレストが420.8g、WIDESEAが436.0gでした。サーマレストのばらつきを考えるとあまり意味のある差はありませんね。

サイズ・重量まとめ

サイズと重量を測った結果を表にまとめておきます。

 サーマレスト
Zライトソル
WIDESEA
EGG NEST MAT
展開サイズ51.5×180.0cm56.5×184.0cm
収納サイズ12.5×16.0x51.5cm13.0×14.5×56.5cm
パッド厚み18mm20mm
素材厚み4mm3mm
重量420.8g436.0g

アルミ処理面の違い

サーマレストZライトソルとWIDESEAマットでは、アルミ処理面に違いがあります。

ここからは僕が実物を見たところでの予想です。間違っているかもしれません。

どちらもアルミフィルム(アルミ箔を張り合わせたor蒸着等で吹き付けた樹脂製フィルム)を貼っているように見えます。

このアルミフィルムですが、サーマレストの方はアルミが表面になっており、アルミがむき出し(あるいはすごく薄くて弱いフィルムで保護)のようです。

実際サーマレストのマットはちょっと使うとすぐにアルミが剥げてきちゃいます。指で強めに擦ったりすると指が銀色になりますよ。

一方、WIDESEAの方は比較的丈夫な樹脂フィルムが表面になっているように見えます。もちろん指で擦ってもアルミがつくようなこともないです。ちょうど表面のフィルムにアルミが守られている感じですね。

そのため、WIDESEAの方はアルミ層の耐久性はサーマレストに比べてかなり高そうに思います。(サーマレストのアルミが弱すぎるんだけなんですけど…)

そして、このフィルムなのですが、サーマレストに比べてWIDESEAの方が厚みがある(あるいは硬い)感じです。厚みがある方が耐久性はいいのかもしれませんが、これは後に述べる快適性の方でデメリットになっています。

快適性

※ ここからは、僕の主観による比較になるので、参考程度にお考えください。

それでは、実際に使う場合の快適性(クッション性や暖かさ等)について比較してみた結果です。

先にも述べましたが、何回か使用してちょっとだけヘタリのあるサーマレストと新品のWIDESEAの比較です。
WIDESEAはまだ実戦投入していないため、双方を室内で交互に使用して比較したものです。
実戦投入しました(テント内で両者を並べて使っています)が、特に以下の記述(僕の感想)に変化はありません。

マットの上を歩いてみた

僕の場合、マットはテントの床全体に敷き詰めちゃって、テントマット代わりにしています。(だから今現在で計5枚も保有しているんです)

そのため、テント内では普通にマットの上を歩きます。

実際、そこにはあまり快適性を求めていないのですが、一応比較してみました。

まず、クッション性はほとんど同じです。

違いを見出すために意識してみるとサーマレストの方がほんの少し柔らかく感じるのですが、実際キャンプで使うときに違いがわかるレベルではないです。

それよりも、特にアルミ面を上にした場合、WIDESEAは表面のフィルムが厚い(あるいは硬い)ので、歩くとこれがベコベコしてちょっと違和感があります。

裏面(アルミの無い面)を上にすればほとんど同じです。

このフィルムの違いは、手触りの違いにもはっきり出ます。
WIDESEAの方はフィルム表面にビニール感がありますが、サーマレストの方はこのビニール感があまり強くありません。
肌に触れる感触はサーマレストのほうがずっと良いです。靴下や服を着ていれば気になりませんが。
裏面(アルミが無い面)の感触はどちらも同じです。

座布団代わりにしてみた

これも上を歩くときと同様、意識しなければ違いはわかりません。

2つ並べて交互に座ってみれば、サーマレストの方がちょっとだけ柔らかいのがわかります。

歩いたときのWIDESEAのベコベコ感はあまり感じません。これは歩いたときは裸足だったのに対し、ちゃんとパンツとズボンを履いて座ったことによる違いもあると思います。

横になってみた

クッション性については、もう違いがわかりません。アルミ面も裏面も肌触り以外は一緒です。

試しに、アルミ面を上にしてそれぞれ15分ほどスマホをいじりながら横になってみましたが、そのくらいでは保温性・断熱性の違いもわかりませんでした。

大きな違いを感じたのはそのサイズです。

WIDESEAの方が横幅が5cmほど大きいのですが、この差がだいぶ出てきます。

僕は身長175cmの標準体型だと思っていますが、サーマレストだとちょっと狭いです。(普段はテント内に敷き詰めてしまうので気にしていませんでしたが)

サーマレストは登山家が担いでもじゃまにならないサイズに抑えているそうなので、ギリギリなのは当たり前なんですが、サイズを気にしないオートキャンプであれば、このWIDESEAくらいの幅はほしいですね。まあ寝袋に入っちゃえばあまり関係ないかもしれませんが。

耐久性

これはまだわかりません。WIDESEAは実戦投入していませんので。数泊使用した時点ではWIDESEAのほうもへたりはあまり感じません。(サーマレストに比べて明らかに優れても劣ってもいない感じ)

少なくともアルミフィルムの耐久性はWIDESEAの方がずっとありそうです。サーマレストのアルミは数泊の使用で一部剥げてきますが、WIDESEAのほうはそのようなことはないです。

気になるのは、素材の厚みではWIDESEAの方がうすいことです。これは長い目で見るとサーマレストより早くへたるのかもしれません。

しばらく使ってみて違いが出てきたら追記します。(数回の使用では特に問題は感じていません)

どちらがいいのか?

今後、またスリーピングパッドの追加・交換が必要になることがあるとしたら、僕はWIDESEAを選びます。

オートキャンプやファミリーキャンプをする人におすすめするとしたら、それもWIDESEAですね。

サーマレストよりちょっと横幅が大きいのは寝るときに結構ちがいそうですし、なんと言っても価格は4分の1ですからね。多少耐久性がないとしてもこれは安いとおもいますよ。

僕にとってのデメリットはアルミ面のフィルムの感触と硬さですが、これは実際に使うときは問題ないレベルだし、この程度のデメリットは価格の差で吹っ飛んでしまいますね。

https://s.click.aliexpress.com/e/_9yJ7Ez

一方で、例えば登山用途など、ちょっとでも軽くコンパクトに運びたいとか、長年使われてきた信頼性が要求されるガチ目の場合はサーマレストになるのではないかと思います。

ちょっと高すぎるんですよね。技術的にはすでに陳腐化してしまっている感がありますし、そうなるとなんらかの進歩がない以上、類似品に駆逐される運命なのでしょうか。。。

クローズドセル以外も含めたマット/パッドについては以下の記事もぜひご覧ください。

↓↓↓ オリジナルのメスティンも1個から作れる ↓↓↓
ブログ管理人
KANI

キャンプ好きサラリーマン。歴は長いけど最近キャンプの機会は激減中。
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