先日ガストーチ(イワタニ クッキングバーナーCJ2)を購入(記事リンク)したのですが、逆さまにして使ってよいかどうか、説明書の説明がやや曖昧ではっきりと分かりません。
この記事では、一般的なガストーチを逆さまにして使っては行けない理由と、イワタニ クッキングバーナーCJ2で実際に試してみた結果を紹介します。
なぜガストーチを逆さまにしてはいけないのか?
カセットボンベの構造
ガスボンベの中には液化したガスが入っており、ガストーチはその液化ガスが気化して気体になったガスを燃料として燃えるように作られています。決して、液化ガスをそのまま燃焼させているわけではありません。
ガスを取り込むための管(ガス管)がL字になっていることがポイントです。
そして、ガス管は、カセットボンベの上部にある切り込みがある方向に曲がることに決められています。
そうすると、切り込みがある方を上にすれば、横に寝かせても、下図のようにちゃんと気体のガスを取り込むことができるわけです。
ガストーチに取り付けた場合
ガストーチにカセットコンロを取り付けた場合、下の写真のように、切り欠き分がトーチの後ろ側になるようになっています。
おそらく市販されている一般的なガストーチはみなこうなっているはずです。
このようにボンベに取り付けることで、下の図のように、ガストーチは前方向に90°まで傾けてもガストーチには気体のガスが供給されるため、問題なく使えます。
ところが、この範囲を超えて傾けると下図でみてもわかるように、ガストーチに液体のガスが供給されてしまいます。
ガストーチを逆さにしても使えるかどうかというのは、この状態になってもちゃんと燃焼できるようになっているかどうかということなんです。
イワタニ クッキングバーナーCJ2は逆さ使いに対応しているのか?
それでは、僕が先日購入したイワタニ クッキングバーナーCJ2(CB-TC-CJ2)は逆さまにしても使えるのでしょうか?
説明書を確認
まず、説明書を確認してみます。
関連すると思われる記述を以下に引用します。
■点火直後に大きく傾けたり揺らしたりしないでください。炎が大きくなり危険です。
※点火約5秒後から、バーナーを傾けて使用することができます。
(火力調整つまみを閉じてもすぐに火が消えない理由として)
●バーナーを傾けても炎が安定するようにプレヒートが取り付けられているため、ガス配管が長く、消化するまで時間がかかります。特に、配管内に液状ガスが入っているときは長くなります。
うーん。微妙な表現ですね。
点火してから5秒待てば傾けてもいいって言うことは、5秒待てば逆さまにできるように読み取れますが、はっきり逆さまにして良いとも悪いとも書いていません。
そう考えると、この説明書を見る限りは逆さまでの使用もできるように思えますが。。。
少なくとも、最後の文を見ると、すくなくとも多少は液体のガスが入ってくることを想定した作りにはなっているようです。
ところで、最後の文にプレヒートというものがあるから炎が安定するみたいなことが書いてありますが、これってどういうことなのでしょうか?
プレヒートとは?
先に述べましたが、ガストーチ/ガスバーナーは、基本的に気体のガスを燃焼するものです。
正確には、気体のガスと空気を適度に混合して燃焼させます。そのため、空気と混合されていない液体のガスが噴出してしまうと、正常に燃焼せずに炎が大きく上がってしまいます。
イワタニ クッキングバーナーCJ2では(というか、大抵のガストーチでは)万が一液体のガスが供給されても、トーチ内で気化させるための仕組みが入っています。
これがプレヒートです。
具体的には、トーチ内のガス配管を遠回りさせて、一旦トーチの炎口付近をガスが通るようにしています。
トーチの炎口付近は高温になっているので、もしガスが液体の状態であっても、ここで気化されるわけです。
イワタニ クッキングバーナーCJ2の場合、以下の写真のようになっています。
ガスの配管が一旦炎口(火が出る部分)付近を回っているのがわかりますね。
説明書にある「5秒後から傾けてOK」というのは、この部分があたたまるのに5秒必要ということなんだと思います。
実際にやってみた
説明書の記述はちょっと曖昧だし、書きっぷりからしても致命的にやばいわけではなさそうだとおもい、実際に試してみました。
点火後に5秒以上(おそらく7-8秒くらい)待ってひっくり返したのが以下の状態です。
極めてまずい写真で申し訳ありません。。。 1人で右手に日のついたトーチ、左手にスマホ、かなり無理のある姿勢で撮ったんですよこれ。
写真では伝わりませんが、普通の炎です。。。 と、思ったのですが、
5秒ほどで様子が変わりました。
輪をかけてまずい写真ですね。機会があったらちゃんとしたカメラで撮り直します。。。
これも写真では分かりませんでしたが、炎の先半分くらいが赤火になって燃え広がっちゃっています。プレヒートが間に合わず、液状のガスを完全に気化しきれていないんでしょうね。
これでガストーチとしての機能を果たさないかといえばそうでもなさそうでしたが、音も見た目もなんかヤバそうに感じました。僕はこの状態で使わないほうが良いと直感的に感じました。
結論
イワタニ クッキングバーナーCJ2を逆さに使うことができるのかどうか?
説明書の記述では使っても良さそうな書き方だけど、はっきりしないものでした。(僕の予想では、そもそもそんな使い方は想定していないんじゃないかと。。)
実際にやってみた結果、点火から5秒以上経てば、一瞬逆さまにするくらいなら問題なさそうだけど、逆さにしたまま使い続けるのはヤバそうな感じでした。
基本的に、逆さまでは使わないほうが良さそう(個人的見解)に思えます。
逆さまにできることを売りにしている商品(後述)もあって、実際それはけっこう人気なので、需要はあるのだと思いますが、いったいどういうときに逆さまで使うのでしょうか?
補足 : 逆さまで使える製品
最後にほんのちょっと触れましたが、キャンパーの間でガストーチといえばまず挙がってくるのがSOTOのフィールドチャッカーですよね。
僕は持っていないし、使ったこともないので、レビュー的なことは書けません。
なので、あえて紹介することも無いかと思っていたのですが、この記事だけを見ると、ガストーチはすべて逆さまにして使えないかのような誤解を与えてしまうのではないかと思い直しました。
僕が知る限り、SOTOのフィールドチャッカーは、点火直後から逆さまにして使える製品です。プレヒートが強力なので、逆さまにしたままでもちゃんとガスを気化できるのでしょうね。
ググってみると、こんな商品もでてきました。
ただこれは、商品写真にSOTO フィールドチャッカーの商品サイトからパクったと思われる写真を使っていたりする(画像は削除されたようです)、ヤバめの商品です。
他にも、ブランドだけ違うほぼ同じデザインの中華製品が数多くありますね。特に危険物を扱うようなものなので、信頼できるメーカーから選んだほうが良いと僕は思います。
安全性に関連して、興味のある方は以下の記事も参照してください。