「世界の工場」と言われることもある中国ですが、アウトドア用品においても世界中のアウトドアブランド品の多くを製造しているのが中国のメーカー(工場)だったりします。
特にブランド志向よりもコスパ・実用重視で選ばれることの多いソロキャンプ向けのテントなどは、中国メーカー・ブランドの人気が出てきています。キャンプ場でもよく見かけるようになりました。
本記事では、比較的無難と思われる(むしろ”良いんじゃない?”っていうところが多いかも)メーカー/ブランドを中心に、主にソロ・デュオ向けの中華テントのスペックをまとめてみました。
中国メーカー製テントってどうなの?
以降、事実に基づく内容というよりも、僕の主観によるところが多くなっています。また、すべてのメーカー・製品に当てはまる内容でないこともご了承ください。
※ そもそも中国メーカーでひとくくりにするのはちょっと無理があると思っています。それくらいピンキリなのが中華ギアです。
低価格なものが多い
とにかくコストパフォーマンスに優れた製品が多いのが一番の特徴ではないかと思います。
同等のスペックのものであれば、日本や欧米のブランドの半額以下なんていうこともザラにあります。
(日本で販売されいてる製品は)スペックは高めの傾向
これは日本国内で販売されている製品に限りますが、少なくともカタログスペック(公開されている仕様)は良いものが多いです。
例えば、最近はシルナイロン(Silnylon : ナイロン生地にシリコンを染み込ませたもの)という高価な生地を使うものが増えています。
シルナイロンの特徴は、かなり丈夫(ナイロン自体が丈夫なうえ、シリコンを染み込ませることでさらに強度が高くなる)で耐水圧が高い特徴を持ちます。
その特徴から、シルナイロンなんて以前は本格的な山岳用途や極地向けの高価なテントで使われるようなものでした。
そんな素材が今では2万円台のテントに使われていたりするんです。
ただ、あくまでも「カタログスペック」の話です。カタログに現れないような仕様や、耐水圧等のユーザーが確認することが難しい数字の信頼性がどの程度なのかはわかりません。。
むしろ、必要十分なそこそこの素材で劇的に安いようなものが中華ギアの真骨頂だと思う(だってガチで高スペックが必要なところでは中華ギアはまだ使われないですよね?)のですが、そのあたりは日本人の悲しい性で、必要以上でも高スペックのほうに走っちゃうんですよね。僕がまさにそうです。最近の若い人はそのあたりの割り切りはうまいですね。
パクリ製品が多い??
後に紹介する一部メーカーを除くと、商品にオリジナリティーはあまりないように思います。というか、有名ブランドの有名テントを思いっきりパクったりしています。
日本の某有名メーカーも過去には海外の有名メーカーに強烈にインスパイアされたと思われるテント・タープで人気が爆発し、今ではむしろパクられる側になっていたりしますが、中国のパクリ具合はそんなレベルではないです。ほんとにそっくりです。
アウトドア業界って、ちょっと以前までは特許やら商標やらで権利を守ることに鈍感だった面もあると思います。
とはいえ、テントなんてそうそう独自性のあるものが出てくるわけではないし、人気テントにはそれなりの理由があると思うので、それに似せた作りであれば無難だという考えもあるかもしれませんね。
メーカー別テント比較
それでは、日本で入手可能と思われる中華テントでソロ・デュオキャンプ向けのものを中心に、メーカー別に紹介していきます。
Naturehike
日本での中華テントに対する認識を変えたと言ってもよいメーカーが、このNaturehikeです。テント以外にも格安の羽毛シュラフなどがよく知られていますね。
当初はMSRのそっくりテントで名を馳せた感はありますが、低価格な割には品質が高いこともあり、キャンプサイトでも比較的見かけることの多いメーカーです。
以前はNaturehikeはAliExpressで安く買うことが定番でしたが、日本国内で正規販売されている方が保証や修理対応してもらえるので安心ですね。
価格はAliExpressよりちょっと高い程度(たとえば以下に紹介するCloud Up 2で約3,000円プラス)なので、保証や安心感を考えると正規販売品のメリットは大きいと思います。
ちなみに、Naturehike Japanには日本限定モデルもあります、ただしNaturehike製品のすべてをラインナップしているわけではないので、AliExpress等でしか入手できないモデルもあります。
Cloud Upシリーズ

Naturehikeのテントの代表作と言っていいのがこのCloud Upシリーズだと思います。
Cloud Upには1~3人用のものがありますが、ソロキャンプでは2人用のCloud Up2が一番良く選ばれていると思います。デュオならCloud Up 3がいいでしょうね。
山岳用途など、サイズ・重量をなるべく抑えたい場合にN人用のテントをそのままN人で使う感じですね。
日本国内でラインナップされているのは、2人用ですと、以下のようなものがあります。
- ちょっと軽量なCloud Up 2 UL 20D
- 20DにスカートがついたCloud Up 2 UL 20D Plus
- 20Dの日本限定版Cloud Up 2 UL 20D Japan limited
- Cloud Upシリーズ最軽量のCloud Up 2 UL 10D
- フライシート吊り下げ式のかっこいいCloud Up Wing 2
Cloud Up UL 20D Plusはスカート付きのモデルですが、インナーはハーフメッシュです。一見4シーズン向けですが、寒いのが苦手な人にはきついかもしれません。
10Dは、その名の通り10Dの生地を使っていて軽量なモデルです。重量は930gと、1kgを切っています。少しでも軽量なものがいい人には良いのかもしれませんが、そこまで拘る人がNaturehikeを選択するのか、微妙な気もします。
最もスタンダードなのがCloud Up 2 UL 20Dかと思います。
総重量は1.72kg、ナイロン20D生地で耐水圧4,000mmと、スペック上は欧米メーカーで50,000万円以上のテント並みですが、その価格は正規品でも20,000円を軽く切ります。すごいですね。。。
日本ではサンドカラー系のテントやタープが大人気ですが、Cloud Up 2 UL 20Dは日本限定のモデルで「コヨーテ」というカラーを採用しています。
これはよく売り切れており、入手は簡単ではないです。。
スペックは普通の20Dと同じですが、価格はちょっとだけ高くなっています。
Cloud Up Wing 2は、Cloud Upの人気に便乗してシリーズに入れただけなのではないかと思われるくらい別のテントです。
フライシートが吊り下げ式でかっこいいテントだと思います。
フレーム構造の工夫でフライを引っ張り上げる様になっており、広めの居住空間を確保できるようになっています。
Amazonでは複数の販売者がNaturehike製品を販売しています。
これらのうち、日本の正規販売店は「Naturehike Japan」です。紛らわしい名前の販売者もありますが、販売元を確認し販売業者が「株式会社カンパネラ」となっているのが正規販売店です。
Oplusシリーズ

前室が広いトンネル型テントです。
ソロの場合はOpalus 2くらいのサイズであれば、天気の悪い日も前室内で過ごすこともできると思います。
フレームがフライの外側を通り、インナーが吊り下げ式であるあたり、Hilbergのテントに似ていますね。価格は1/5以下ですが。
※ もちろん極地でも使われるようなHilbergのテントとはスペックも信頼性も全然違うと思いますが
MOBI GARDEN
日本では中華テントと言えばNaturehikeが有名ですが、中国国内ではこのMOBI GARDENがテントのトップシェアとのことです。
こちらも日本国内に代理店(株式会社帝伸テック)がありますので安心感がありますね。
この帝伸テックが、アマゾン・楽天で「オリエンタルアウトドア」というショップ名でMOBI GARDENのテントを販売しています。オリエンタルアウトドア( 帝伸テック )で販売されるテントは3年保証付きです。
LIGHT KNIGHTシリーズ

NaturehikeのCloud Upシリーズとスペックも価格も近いテントです。
いくつかのバリエーションでそれぞれ1人用と2人用のものがラインナップされています。
国内正規品で2人用のものだと、以下のテントがあります。
- スタンダードなLIGHT KNIGHT 2
- スカート付きのLIGHT KNIGHT 2 Plus
- 非メッシュインナーの日本仕様LIGHT KNIGHT 2 JPN
- 難燃生地の日本仕様LIGHT KNIGHT 2 JPN 難燃キャンプ仕様
LIGHT KNIGHT 2 Plusはスカートが付いているだけでインナーはハーフメッシュです。ここはNaturehikeのスカート付きと同じですね。
スタンダードなモデルはLIGHT KNIGHT 2です。
これはNaturehike Cloud Up 2と使っている生地、重さ、大きさから価格までほぼ一緒のまるかぶりです。
どちらがいいかは、はっきり言って好みの問題じゃないかと思います。
LIGHT KNIGHT 2 JPNは日本仕様のテントです。これはいいと思います。
↑売り切れの場合、同シリーズの別製品のページに飛んでしまいます。
これに関しては、がっつり日本向けにカスタマイズされています。
まず、インナーは日本で好まれる非メッシュですし、生地も10Dを使うことで非メッシュにすることによる重量の増加を抑えています。(もちろん出入口はメッシュにもできますし、足元にベンチレーションを追加しています)
さらには、ポールの見直しやフットプリント(グラウンドシート)の軽量化で、フットプリント込みでの総重量は、インナーがハーフメッシュのスタンダードタイプより軽くなっています。
ほかにもペグダウンポイントへの補強の追加や、果てには付属のペグまで強度を向上さているのだそうです。
LIGHT KNIGHT 2 JPN 難燃キャンプ仕様は、生地に難燃性の素材を使っているモデルです。
難燃性の生地なので、火の粉でフライに穴が開くリスクは小さくなります。
※ さすがにテント内で火器を使っても問題ないということではないと思います。
まだキャンプに慣れていない人やたき火をよくやる人であれば、火の粉で穴が開いたりする心配が少ないのはいいですね。
仕方のないことですが、難燃性の生地にしているおかげで総重量が2.5kgくらいになってしまっています。
COLD MOUNTAINシリーズ

オーソドックスなドーム型でフライもインナーもポリエステル、耐水圧はフライが2,000mm, ボトムが4,000mmで重量は2人用の場合2.2kgと、そこそこなスペックと言えるテントです。
驚異的なのはその価格です。このスペックで驚きの10,800円!!
もうちょい頑張って9,800円にしてくれればバズると思うけどなぁ。。。
ソロキャンプと言っても、オートキャンプ等でライトに楽しむ人にとっては「こういうのでいいんだよ」って感じですね。
KAILAS

洒落た感じのブランドロゴをみると、アメリカのメーカーっぽい感じですが、実は中国のメーカーです。
NaturehikeやMOBI GARDENと比較すると、ややハイパフォーマンスよりの商品展開です。
2019年に日本法人であるカイラス・ジャパンが設立されており、ネットでは楽天にショップを持っています。
比較ライトユース向けのモデルもKAILASにはあるのですが、カイラス・ジャパンで取り扱っている様子はないです。
※ あまり積極的に拡販するつもりはないのかな。。。 商品紹介は様子を見てからにします。。。
本記事執筆時点(2021年9月)では、Amazonで中国の業者が販売していました。もちろん並行輸入品となります。
KAILAS Trionesと言うテントです。
フライは190T ポリエステルで耐水圧5,000mm、インナーはフルメッシュ、ボトムは210T ポリエステルで耐水圧8,000mmと、比較的しっかりした生地でペグを除いた重量は2.1kg(2人用)です。
KAILASは10数人寝れるような巨大なドームテントがあったり、上のTrionesもキューベンファイバーという超軽量の生地を使ったモデルがあったりと、なかなかおもしろいとは思いますが、ライトなキャンプ向けのラインナップはこれといった特徴はありません。
見た目がちょっと洒落ているし(でもロゴの入れ方がでかすぎて個人的にはダサいと思うテントもある)安いことは安いのですが、コスパに関してはNaturehike, MOBI GARDENのようなインパクトには欠ける感じです。
それと、日本国内での入手性がまだちょっとイマイチな感があります。
THE FREE SPILITS

こちらはここまで紹介した中国メーカーとは一線を画すテントメーカーです。
ハイスペックでとにかく美しいテントを提供するメーカーです。
価格帯も高めの設定です。とはいっても、スペックを考えるとコストパフォーマンスはかなりいいんですが。。
MOBI GARDENと同じく、株式会社帝伸テックが代理店となっています。
こちらは、公式ページから購入することができます。タイミングによっては売り切れが多いですが。。
基本的には「不良があったら交換するからそれでいいじゃない」っていう感じですかね。ほんのちょっと不良をなくすためにコストを掛けたりしないという割り切りに長けているんですね。
人件費が低いのは確かですが、それが低価格の主な理由と言うのは20年前の話です。