前回の記事を書くにあたっていろいろ調査をしている中で、すすぎ不要、というか水が不要な食器用洗剤があることを知りました。
確かにキャンプ/アウトドアで、水が不要な洗剤があれば助かりますね。
本当に水なしで洗剤を使った食器洗いができるのでしょうか?
本記事では、食器用洗剤なのに水がいらない理由を調査してみましたので紹介していきます。
水がいらない洗剤
まずは、いくつか見つけた「水がいらない食器用洗剤」を紹介します。
グリーンモーション エコキッチン
最初に見つけたのがこの商品です。
いくつかのキャンプブログ(キャンプクエストさんの記事、Minimal Campintさんの記事など)で紹介されていました。
M&Sakurako FOREST WASHER
こちらも同じように、水が不要な食器用洗剤とのことです。
水がいらない洗剤の使い方
基本的な使い方は以下のようなものです。
- 食器などの汚れがひどい場合は、そのままサッと拭いて汚れをざっくり落としておく。
- 洗剤をスプレーでシュシュッと吹きかけて、キッチンペーパーなどで拭き取る
ただこれだけです。
本当にこれだけ、つまり水ですすぐ必要がないというわけです。
冬場のキャンプなど、水洗いは辛いとか、水場が遠くて面倒とか、そういう煩わしさから開放されるわけなんですね。
なぜすすぎ無しでOKなのか?
それでは、なぜすすぎ無しでも大丈夫なのかについて、ちょっと調べてみました。
公式のはっきりした説明は見つけられず
まず、グリーンモーション エコクリーナーの説明です。
一番信頼できそうなのは、公式販売サイトのこちらのページ(リンク先消滅)かと思います。
そこにあった説明は以下の様なものです。
【5】環境への負荷が少なく、アウトドアや非常時にも安心
アウトドアや非常時の水不足でも使えて、少ない水の量でも大丈夫。
キャンプ地などの環境を守ることができたり、水場が無かったり遠い場合には、キッチンクリーナーと油汚れを馴染ませた後、拭き取るだけで後片付けができ便利です。
また、非常時の水不足の際にも、少ない水の量でも安心です。
※通常時には少量の水で流してください。
※拭き取りの際は洗剤残りが無いよう、ご注意ください。MARCSストア販売ページ(リンク消滅)より
というわけで、すすぎが不要だよというより「基本的には少量の水で洗い流してください」というニュアンスですね。
そして、水がない場合はすすがなくても大丈夫だと匂わせている感じですかね。
※大事なことは小さく書くのではなく、大きく書いた方がいいと思いますよ。
次に、M&Sakurako FOREST WASHERのほうを見てみます。
こちらはおそらくこのページが公式(リンク先消滅)になるのかな(?)と思います。
ご使用方法
汚れに適量を噴霧した後、キッチンペーパなどで拭き取ります。販売ページ(消滅)より
こちらは普通に書いていますね。拭き取る取るだけでと言い切っているのに近いです。
どちらについても、なぜすすぎ無しで大丈夫なのかについて、明確な説明は見つけられませんでした。
たぶん濃度が薄いからほとんど害はないということでは?
それぞれの洗剤の成分を見てみると、以下のようになっています。
ECO KITCHEN CLEANER | 高級アルコール(非イオン) 0.54% ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド 0.42% |
FOREST WASHER | 界面活性剤 1.3% |
普通に考えて、エコキッチンの「高級アルコール」というのは、「高級アルコール系の界面活性剤」のことだと思います。
FOREST WASHERについては、どういった界面活性剤なのかはわかりませんでした。
ここでわかることは、どちらも界面活性剤の濃度が1%程度と、かなり薄いということです。
そもそも、最近の食器用合成洗剤は、体内に少量入ってしまっても害は少ないです。これは食器に使うものだから当然ですね。
そしてこれらの洗剤(すすぎ無しでOKと言われている洗剤)は、その濃度が一般的なものよりかなり低い(ぶっちゃけ普通の合成洗剤を水で十~数十倍に薄めたようなもの)ので、わざわざ水で流さなくても残存する洗浄成分はほんのちょっとだし、たいして害になるようなことはないということではないかと思います。
界面活性剤1%程度できれいになるのか?
上に挙げたような、これらの商品を紹介しているブログ記事などでもちゃんときれいになるといっているのだから、きれいになることはわかっていますが。。
ここでは、実際に買わずに、ちょっと違う視点で考えてみます。
まず、普段使っている合成洗剤の濃度についてです。
今キッチンで使っている洗剤(キュキュット)の成分表示・使用法を確認してみました。
界面活性剤の濃度は32%で、使用量の目安としては、「ぬれたスポンジ等に適量(1~2ml)」とあります。
ざっくりした目安なのでよくわかりませんね。
それでは、実際に自分が普段どの程度の濃度で洗剤を使っているか、確認してみました。
まず、洗剤の量です。
普段自分が使うくらいの量をスポンジに出してみたところ、0.5g単位の秤は反応しなかったので、1.0gになるまで洗剤を追加しちゃいました。
普段使う量の倍以上だと思います。
次に、普段使う感覚でスポンジに水を含ませ、泡立てた状態です。
スポンジに含まれている水+1gの洗剤の合計で29gでした。
つまり、僕の普段の使い方では、界面活性剤の濃度が32%の洗剤を29倍以上に薄めて使っているということになりますね。
計算すると、界面活性剤の濃度は、0.32g / 29g = 0.011 → 1.1%となります。
秤の精度はそんなに高くないと思いますが、たぶん洗剤は普段の倍くらい含んでいるので、実際にはいつも濃度1%以下で使っていることが多いのではないかと思います。
こうしてみると、界面活性剤の濃度1%の合成洗剤って、普通に汚れ落ちるよねって思いませんか?
普通の洗剤でよくない?
ここまでちょっと調べてみたりして、気づいたことが1つあります。
「これって、ヤシノミ洗剤を水で薄めたものと大差ないんじゃないの?」
それぞれの洗剤の成分を見てみます。
ECO KITCHEN CLEANER | 高級アルコール(非イオン) 0.54% ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド 0.42% |
ヤシノミ洗剤 | 界面活性剤 16% アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム 脂肪酸アルカノールアミド |
エコキッチンの「高級アルコール」とは具体的には何かわかりませんが、高級アルコール系の何らかの界面活性剤と思われます。
ヤシノミ洗剤のほうは、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムというものが、高級アルコール系の界面活性剤です。
脂肪酸アルカノールアミドについてはどちらも同じですね。
最近の洗剤は除菌や消臭効果などの付加価値をつけるための添加剤が入っていたりするものが多いですが、ヤシノミ洗剤はそういったものも少ないのではないかと思います。
というわけで、ヤシノミ洗剤を16倍に希釈したもの(界面活性剤濃度を1%にしたもの)で試してみました。
まずはヤシノミ洗剤をだいたい1mlとります。
そこに約15lmの水を混ぜます。
100均で買ったスプレーボトルに入れて完成です。
ちょっと振ってみたらよく泡立ちました。
油汚れはアルミのカップにオリーブオイルを垂らしたもので試してみました。
まずはペーパータオルでさっと拭きます。
写真ではわかりませんが、油が薄く広がった状態でテカテカ・ヌルヌルの状態です。
ここに、先に作ったヤシノミ1%洗剤をスプレーし、ペーパータオルでふき取ります。
スプレー後は洗剤感が完全になくなるまで、ちょっとしっかり目にふき取る必要がありました。
ふき取った後は油っ気も全くなく、完全にきれいになっているように見えました。臭いもありません。
1%希釈ヤシノミ洗剤ですすぎ無しの使用はOK?
実験としては、ヤシノミ洗剤を1%に希釈したもので、油汚れがとれることはわかりましたが、すすぎをしない使い方の安全性は全く確認していません。(僕のような個人レベルでは確認のしようがありません)
なので、この使い方を推奨はできません。
ちなみに僕は今後のキャンプにはヤシノミ1%洗剤を作って持っていくと思います。
ただ、すすぎをしないというのは気分的にちょっと抵抗があるので、本当に水が使えないときや、ちょっとの水ですすぎを済ませたいときに使うことを考えています。
もしくはキャンプ最後の食事で、自宅に帰ってからあらためて水ですすぐ前提になると思います。
食器についてはまったく水ですすがないというのは若干抵抗がありますが、テーブルや汚れたギアを拭いたりするのにはばっちりだと思います。
あるいは、すすぎの水を減らす(洗剤を含む排水を減らす)という意味では、キャンプ場での使用に適しているのではないかと思っています。
自宅のキッチン周りをきれいにするのにもよさそうですね。