キャンプ/アウトドアに最適の食器洗い洗剤は?

キャンプ場によっては、炊事場で食器洗いに使用する洗剤を限定しているところがあります。

そのようなキャンプ場では、普段自宅で使っている食器洗い洗剤は使えないことがあるのですね。
記事中で説明しますが「エコ洗剤」なる呼ばれ方をされることもある洗剤もだめだったりします。このあたりは、ネット上では間違った解説をしている記事もよく見られますので注意してください。

使用できる洗剤を正しく知っておかないと、キャンプ場の売店で割高な洗剤を購入しなければならなくなることになってしまいます。

本記事では、たいていのキャンプ場で使用できる台所用洗剤の紹介と、なぜ一部のキャンプ場が使用できる洗剤を制限しているのかについて説明します。

ほとんどのキャンプ場で使えるのは「台所用石けん」

結論から言ってしまうと、品名が「台所用石けん」となっている洗剤ならほとんどのキャンプ場で使用できます。
※ もちろん洗剤の使用自体を禁止しているところでは使えませんが。。

洗剤が「台所用石けん」かどうかは簡単に確認できます。

台所用(食器洗い)洗剤のパッケージの裏側などを見ると、かならず品名が書いてあります。
これは法的に義務付けられているためです。(参考:家庭用品品質表示法

下の写真では、左側が「台所用石けん」ですね。

PAX NATURONとJOYの品名表示

右側が「台所用合成洗剤」です。自宅で使っている洗剤をチェックしてみてください。
大半の家庭ではこの「台所用合成洗剤」を使用していると思います。

台所用の洗剤の場合、品名は「台所用石けん」「台所用複合石けん」「台所用合成洗剤」のうちどれかになります。

つまり、パッケージを確認して、品名の欄に「台所用石けん」と書かれているものであれば、ほとんどのキャンプ場で使えることが出来るということです。

石けん(純石けん)と合成洗剤の違い

それでは、この「台所用石けん」と「台所用合成石けん」は何が違うのでしょうか?

石けんと合成洗剤は「界面活性剤」が違う

洗剤の洗浄力のキモとなるのが界面活性剤です。

石けんと合成洗剤の違いは、この界面活性剤に使われている物質の違いです。
具体的には、ざっくり以下のような違いです。

  • 石けん : 界面活性剤が脂肪酸塩(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)であるもの
  • 合成洗剤 : 石けん以外の界面活性剤
  • 複合石けん : 石けんと合成洗剤が規定された割合で混ざったもの

正確な定義は家庭用品品質表示法に基づいて決められています。(石けんの定義合成洗剤の定義

合成洗剤の成分はかなり多くの種類があり、それぞれ洗浄力・皮膚への刺激・生分解のしやすさ等の性質が異なります。
また、複数の界面活性剤を混ぜることで洗浄力がより高くなる場合もあり、ほとんどの合成洗剤は複数の界面活性剤を組み合わせて作られています。

例えば、現在の台所用洗剤で使われていることの多い界面活性剤は以下の様なものがあります。

界面活性剤使われている商品例
LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)ママレモン
AS(アルキル硫酸エステル塩)エコベール
AES(アルキルエーテル硫酸エステル塩)ジョイ, キュキュット, チャーミーマジカ,
ヤシノミ洗剤, フロッシュ
** それぞれの洗剤には他の界面活性剤も含まれています

LASは洗浄力が高く、過去(数十年前)には主流だったそうですが、AS, AES等に比べて自然界で分解(生分解)するにに時間がかかり、また肌への刺激も強いものであり、最近はあまり台所用洗剤には使われなくなりました。

多くの洗剤に含まれるようになっているのがAESです。
上記3つの中ではASが最も生分解しやすい(最も短時間で分解する)のですが、やや肌への刺激があることなどから、肌への刺激が少ないAESが主流になっているようです。

「石けん」のほうが生分解しやすい

多くの合成洗剤は界面活性剤やその他の添加物の組み合わせ等により、洗浄力・泡持ち・泡切れ(すすぎやすさ)などに強みを持ち、一般の家庭では石けんよりも合成洗剤のほうが使われています。

とは言え、石けんにも合成洗剤に対して有利な点があります。

それは、(下水処理施設を介さずに垂れ流した場合に)石けんのほうが環境への負荷が小さいことです。

石けんは、その他の多くの界面活性剤よりもやや毒性が低いです。

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毒性という言葉だけ抜き出して過剰に考えられるのも良くないと思いますので、念のため補足しますが、そもそも台所用洗剤に使われるような界面活性剤の毒性は強くないです。(参考:日本石鹸洗剤工業会 AESのリスク評価

そして、毒性がなくなるレベルまで自然環境で分解されるまでの時間も短いです。
※ 環境によるが石けんは1日以内、家庭用洗剤の多くで使われる合成洗剤で数日以内に界面活性作用がなくなるレベルに分解。

つまり、石けんの排水のほうが、同じ量を使った場合の毒性が低く、毒性がなくなるまでの時間も短いというわけです。

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ここで注意していただきたいのは、同じ量で比較した場合は石けんの毒性が他の合成洗剤より若干低いということです。

実際には洗浄力・泡持ちに優れる合成洗剤のほうが使用する量は少なくなりがちだと思います。少なくとも僕の場合は確実に合成洗剤のほうが少ない量で済ませることができています。

そのため、実際に石けんと合成洗剤のどちらのほうが環境負荷が高いのかについては議論が分かれるところにもなっています。
※ 本記事は、あくまでも多くのキャンプ場で使える(禁止されていない)洗剤の種類について解説するものであり、そのあたりの議論については考慮しません。

なぜ「台所用石けん」しか使えないキャンプ場があるの?

それでは、なぜ一部のキャンプ場では台所用石けんだけ使ってよい(つまり「台所用合成洗剤」をつかってはいけない)のでしょうか?

それには、以下のような理由があるからなのです。

キャンプ場の排水処理には限界がある場合も

都市部・住宅地では、台所からの排水はほとんどの場合下水道を通って処理場で処理されます。

最近の台所用洗剤は、石けんだろうと合成洗剤だろうと、この下水処理場でほぼ分解されてしまいます。

TIIPS

合成洗剤が普及されるようになった当初(1950年代)は、自然環境で分解しにくい物質(ABS)が使用されていました。

そのため川や海が汚染されるなどの環境問題となったため、現在は比較的自然の中で分解(生分解)しやすい物質が使われるようになっています。

つまり、今の合成洗剤は、処理場で処理をしなくても自然界でいずれは分解されるようになっています。

処理場で処理される下水に排出できれば、合成洗剤でも自然界に出る前にほぼ分解されてしまうのでいいのですが、キャンプ場の場合はそのような下水が使用できない場合があります。
多くのキャンプ場は都市部ではなく自然の中に位置することが多いので当然と言えば当然ですね。

処理場につながっている下水道が使えないキャンプ場では、独自に簡易的な処理設備を設置していたり、そのまま山や川などにたれ流しています。

そこで、そのようなキャンプ場では、少しでも環境への負荷が少ない洗剤を使ってほしいということになるわけです。
それが品名が「台所用石けん」の商品というわけですね。

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例外もあります。

例えば僕がたまに利用するキャンプ場では、炊事場に据え置きの洗剤以外の使用は禁止していますが、そこに据え置かれている洗剤はヤシノミ洗剤(合成洗剤)です。

例えば、泡切れがやや悪い石けんを使って多くの水を消費されるよりは、比較的環境負荷が小さいことがわかっている特定の合成洗剤を使ってもらいたいなどの理由があるのかもしれません。

使用できる洗剤は、キャンプ場の事情によって様々だと思いますので、それぞれのキャンプ場のルールに従うようにしましょう。

ほとんどのキャンプ場で使える商品は?

実際には、大半のキャンブ場では使用できる洗剤に制限を設けていません。
下水道の普及が進んでいることもあるでしょうし、最近の合成洗剤は環境負荷が小さくなってきていることもあるかもしれません。

とはいえ、現実として合成洗剤を禁止しているキャンプ場は多数ありますし、(使いすぎないように注意すれば)石けんのほうが環境により優しいのも事実だと思います。

ここでは、実際に「台所用石けん」である代表的な商品の紹介と、よく誤解されがちな「エコ洗剤」について説明します。

「台所用石けん」の商品

ミヨシ石鹸 無添加 食器洗いせっけん

無添加・無香料の台所用石けんです。

台所用石けんの定番な感じですね。

太陽油脂 PAX NATURON 400番

太陽油脂株式会社が製造・販売する台所用石けんです。

200番というのもありますが、この400番のほうがちょっと濃度が濃くて洗浄力も高めらしいです。
※ 僕は200番は使用したことがありません。

シャボン玉石けん 台所用せっけん泡タイプ

シャボン玉石けんの泡タイプの洗剤です。

先に紹介したミヨシ石鹸やPAX NATURONにも泡タイプがありますが、キャンプに持っていくにはこのようなプッシュ式よりちゃんとキャップがある昔ながらのタイプの方が扱いやすいと思っています。

キャンプには小さな入れ物に使う分だけの洗剤を入れていく人もいますよね。そういった場合も泡タイプだと不便です。

この中ではどの洗剤がいいのか?

ではこれらの中でどれが良いのかというと、個人的にはどれも一緒だと思います。

含まれている成分が同じ(濃度はちょっと違う)なので、洗浄力も似たようなものではないかと思います。

商品成分
無添加 食器洗いせっけん純石けん分(28%脂肪酸カリウム)
PAX NATURON 400番純石けん分(23%脂肪酸カリウム)
台所用せっけん泡タイプ純石けん分(23% 脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム)
各「台所用石けん」の成分

僕個人はミヨシ石鹸とPAX NATURONしか使ったことはありませんが、少なくともその2つでは洗浄力の違いは感じませんでした。
※ 同時に使って比較してみたわけではないのでなんとも言えませんが。。

石鹸独特のちょっと嫌な匂いがするのも一緒ですね。よくすすがないと食器に石鹸の匂いがついちゃいます。。
※ 告白すると、キャンプの後に自宅で匂いを取るために合成洗剤で食器を洗い直すこともあります。

誤解されている(?)こともある合成洗剤

ネットで検索すると、キャンプ場で使える洗剤についてちょっと首を傾げるような情報が多数見られます。

大手キャンプ系キュレーションサイトであるCAMP HACKのこちらの記事や、Kurashi-noのこちらの記事あたりがその典型的な例です。
ちょっと調べることすらできないなら書かなければいいのに、間違った記事をパクってファクトチェックもせずに似たような記事を書いているためか、同じような間違いをしている記事が多いようです。

よくあるのが、キャンプではヤシノミ洗剤・フロッシュ・エコベールを推奨するというものです。

ヤシノミ洗剤
フロッシュ
エコベール

確かに、使用している成分を確認すると、(その他の大部分の合成洗剤と同様に)環境への負荷は比較的少ないものを使用しているようですし、いいものだとは思います。

ただ、ここであげたヤシノミ洗剤・フロッシュ・エコベールは下の写真のラベルをみてもわかるように合成洗剤なので、「合成洗剤禁止」のキャンプ場で使うことはできません。

ヤシノミ洗剤、フロッシュ、ECOVERの品名表示

そもそも原材料が植物かどうかなんて関係ない

例えば、先にも述べた多くの合成洗剤で使用されているAESという物質は、石油からも植物油(ヤシ油)からも作ることができます。

そして、原料が石油だろうと植物だろうと、出来上がったものは同じAESという物質です。
AESはAESでしか無いので、原料が植物の場合と石油の場合で性質が違うはずはありませんよね。

たまに「天然素材由来だから自然界で100%分解する」なんて言われていることがありますが、それは自然環境で100%分解する化学物質を天然の素材から作ったというだけに過ぎず、仮に同じものを石油から作ったとしてもその物質は自然環境で100%分解するものです。
※ それに、石油だって天然の動植物を原料に自然作用によってできたものだし。。

エコ洗剤がエコだと言われる所以は、原料に有限の資源である石油を使っていないとか、製造工程においても環境に配慮しているからなのであって、その洗剤自体は自然環境にそのまま垂れ流せば普通の合成洗剤と大差ない影響を与えることになります。

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念のため。。
ここで言いたいことは、「合成洗剤禁止」のキャンプ場では「ヤシノミ洗剤・フロッシュ・エコベール」とかも禁止ということになりますよということです。

原料から製造工程までを含めたトータルでの環境負荷においてエコ洗剤と呼ばれるものの多くは優れていると思いますし、一部のメーカーは環境保護にも積極的です。
ただ、使用した際の排水に限定して考えれば、環境への影響は最近の他の合成洗剤と大きな違いはないということです。

環境保護の観点で言えば、キャンプ用というより、自宅で使う洗剤としても普通にいいものだと思います。
※ 僕はあまり使っていませんが。。

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